海沿いじゃないのにマチュピチュに行く

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海沿いじゃないのにマチュピチュに行く

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仕事上、世界のいろいろな観光地に行きます。
日本人がありがたがる世界遺産を訪れることもあります。
ただ、しょんぼなのは“クルーズ”の旅なので、海沿いの町しか行けないこと。
行けるだけでもありがたくて、手を合わせてしまうのですけれど……。

ある南米クルーズの取材のとき、旅チャンネルのテレビクルーも船に同乗して撮影をしていました。みんなペルーで下りる予定です。
「もちろん、マチュピチュ行くよね?」テレビとしては客船にこだわる必要がないので、マチュピチュでもうひと番組作れると思っていたようです。
気が弱い私はテレビチームに「No」も言えず、上司に「マチュピチュも行きます」と言うこともできず、おろおろしましたが、そう行けるところではありません。
なんたって、400年間人の目に触れなかった「天空都市」。
いまだ謎の多い遺跡が数多く残るそうですし、海じゃなくて山に行けるのです!

海(海抜0メートル)をひたすら走った後、飛行機でマチュピチュへの起点となる、これまた世界遺産のクスコという町に行きます。
ここは標高3,360メートル。飛行機を降りた後、うれしくてスキップしていたら、知らないおじさんが「激しく動いちゃダメ」と言います。
そうです、高山病です。じわじわと血中の酸素が薄くなって、頭痛や吐き気が起きるのです。高級なホテルには客室に酸素ボンベの用意があるところも……。
ビビった私は、スローモーションのように動くことにしました。
高山病にいいといわれるツボもさりげなく押し続けます。意外に用心深いです。
さらに現地で飲まれている「コカ茶」という、コカインの元になる葉のお茶をぐびぐびと飲みました(写真)。もちろん、コカの葉にはコカインの成分は少ない上に特別な抽出方法をしないといけないので、お茶でラリることはありません。
クスコの町はもともとインカ帝国の首都だったので、町並みも美しく市場なども活気が溢れています。トウモロコシやジャガイモ、そして何よりペルーの人がお肉好きだというのは、ダイナミックなお肉屋さんから想像することができます。
そのほか、インカの石組みで作った不思議な壁やカテドラルを見た後は、ペルー料理で有名な食用ネズミ「クイ」のお料理などをいただき(というか、みなで強がって食べました)、クスコを満喫したのでした。
町にはインカ帝国時代の格好をした怪しいお兄さんもいます(写真は有料)。

ちなみに、その夜、私は高山病にはなりませんでした。
しかーし、「余裕だよ~」と言っていた、強靭な男性陣が次々と高山病に。
その苦しみ方はちょっと尋常じゃありません。
あぁ、スキップしないでよかった……。



なんだか、すごいゴージャスな列車に乗って、いざマチュピチュへ

テレビ撮影に便乗して、ホテルや列車は豪華なホテルや列車を運営するオリエンタル・エキスプレスにお世話になりました。ホテルも豪華!
さらに、翌日乗ろうとしたオリエンタル・エキスプレスの電車で、電車の前でお手拭はもらえるし、民族舞踊も見られます。車内ではフルコースです。(ちなみに踊っている人は男性でしょうか、女性でしょうか)

マチュピチュ自体は標高2,057メートルとクスコよりも高いので高山病の心配はありません。「世界の車窓から」のような風景を見ながら一路、マチュピチュへ。あやしい入り口で賄賂を渡し(テレビ撮影が入るで)、ぜいぜいいいながら、階段を上ります。本気で上ると3000段の階段があるそうです。
そのほか、住居、広場、天体観測所、水浴場、段々畑もしっかりあります。
何を植えていたのでしょうか。トウモロコシでしょうか……。

雨模様だった空中都市が一瞬で、晴れ渡り、雲の間にその全景を見せてくれました。
おおおおおおおお。海では見れない……(そればっかりですね)。

人口は750人だったとか、インカの王族・貴族の避暑地だったとか、いろんな説明をインチキっぽいガイドさんが英語でしてくれましたが、「は~」というしかありません。当時はオリエント・エクスプレスの電車も走ってなかったでしょうから、こんなすごい都市を訪ねられなかったことでしょう。

もちろん、長い間世の中に姿を見せなかった絶景の場所にも感動しましたが、私はインカ帝国の子孫ではないかと思われる、いかにもそんな顔をした人が普通に暮らしていることのほうが、歴史を感じさせられて感動したのでした


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