え? ノーベル賞に私もついていってイイんですか?
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ノーベル賞に私もついていってイイんですか?
え? ノーベル賞に私もついていってイイんですか?
2008年夏、北欧フェリーの取材でスウェーデンのストックホルムやノルウェーのオスロを一人でうろうろしていたとき、「おお、この2都市ではノーベル賞の授賞式があるのだな〜。楽しそうだな〜」とすっかり“ノーベル賞オタク”化しつつ、授賞式会場をのぞいたり、ノーベル・グッズを買って集めていました。
するとその数ヵ月後、中学校から長い付き合いの友人O嬢から連絡が。
「伯父がノーベル賞を取って、授賞式に私も行くんだけど、ドレスどうしよう」とのこと。
そんなすごい伯父さまがいるなんて、聞いてないよ〜。
「うらやましい。私も行きたい〜!」(私)
「あ、いいよ、行こうよ」(O嬢)
そんな恐ろしくも軽いノリで12月のノーベル賞授賞式に行けることになりました。
12月という出版業界では一番忙しい時期ですが、両方の上司とも「ノーベル賞に行けるなんて一生に一度の機会だから行ってこい」と快諾(感謝)。
10人のノーベル受賞者と同じホテルに泊まる!
10人のノーベル受賞者と同じホテルに泊まる!
グランド・ホテルのお部屋と窓から見える湖&宮殿
ノーベル賞受賞者(平和賞以外)はストックホルムの「グランド・ホテル」に宿泊します。1人の受賞者につき、家族や研究グループの仲間など16人まで同行できるのですが、私はクラゲ博士として一躍有名になった下村脩氏の姪っ子と同室に潜り込ませてもらいました。
くしくも数カ月前に、「このホテルに泊まりたいなあ」と眺めていたホテルです。
この年はノーベル賞を日本人が3名ということで話題になった年でした。
現地では「ノーベル・ウィーク」として約1週間、いろんなイベントが行われます。
受賞者たちの基調講演、ノーベル・コンサート、大使館主催のパーティー、授賞式、晩さん会、二次会と、ミーハーに参加した私たちでさえ、目がまわる忙しさ。
受賞者の方がげっそりして「疲れました」と帰国するのがよくわかります。
O嬢と私は出発前から「一応やっておこう」ということで、ドレス選び、晩さん会ディナーマナー教室、社交ダンス教室にまで行って、すでに疲れ気味ですが、気分はのりのりです。
ツーショットをゲットするというミッション
全員のサインとツーショットをゲットするというミッション
O嬢は某週刊誌の副編集長で、お互いにマスコミとしてのミーハーさもたっぷり。
ホテルで夜な夜な「ノーベル賞受賞者サインブック」を準備し、受賞者全員のサインとツーショット写真をゲットすることを自らのミッションにしました。
下村先生のお部屋を訪問。発光体を持ってきて見せてくださるお茶目な一面も……
受賞者の顔写真と受賞理由をサイン帳に貼り付け、漏れがないようにします。
両面テープでサイン帳を作りながら、「いや〜、中学校の時の文集を春休みに慌てて作ったのを思い出すねえ」と昔を懐かしみます。
あいかわらず余計なことをしてしまう性格は2人とも変わっていません。
ノーベル賞の授賞式会場(市庁舎)のレストランでは前年のノーベルディナーがいただけます。ちょっと味見に〜
受賞者は同じホテルに泊まっていますし、「ノーベル・コンサート」などの時は周囲も手薄です。物理学賞の益川先生や小林先生は大学の研究仲間を多く同伴されていますので、女子が「先生おめでとうございます〜」と走っていくと、にこやかにサインとツーショットを撮らせてくれます。
もちろんターゲットは文学賞のル・クレジオ先生や経済学賞のポール・クルーグマン先生など全員です。天才的な認識力を持つO嬢のおかげで医学賞、化学賞の先生方も含む全10人の受賞者のツーショットとサインをゲットしました。
このミッションのメリットは、すべての受賞者の先生とお話ができたということです。いくら受賞者の身内とはいえ、他の受賞者とそう簡単に話すわけにはいきません。そこはマスコミで培ったずうずうしさと好奇心で突撃し、人格者でもある受賞者の方々たちとお話することができたのは素晴らしい経験です。
記者会見に出る謎の女子2人
まじめに基調講演も聴き、記者会見に出る謎の女子2人
化学賞の基調講演。スウェーデンの学生はこんな講演が毎年聴けるなんてすごい!
地元大学で行われた化学賞の基調講演では、下村先生が最初に登壇し、長崎の原爆直後で「勉強したくとも、する場所がなかった」という事実、そしてただひたすらにあきらめずに一つのことを追い求める大切さを聞くことができました。
受賞者や国王一家も集まる「ノーベル・コンサート」
下村先生の奥様のご厚意でいろんなイベントに参加させていただき、国王一家も集まるノーベル・コンサート、授賞式も“生”で見ることができました。
記者会見にはマスコミの顔で潜入。O嬢は自分の雑誌でしっかり記事に……
日本大使館主催の日本人受賞者の記者会見にはいきなり“マスコミ”の顔をして澄ました顔で記者用の席に座ります。
「あの二人、どこの新聞社だろう?」と周りから不思議がられながら、その数時間後にはヘアメイクもして、フルレングスのドレスでパーティー会場に向かうという、まったく謎の行動です。
美容室にも行って、準備万端!世界各国はもちろん日本からも取材の嵐。ドレスアップして涼しい顔で行ってきます!
晩さん会場の市庁舎晩さん会はこんな感じだそうです!
そうして、すべてのイベントは無事終了。
益川先生が買い占めたと報道されたノーベル・チョコレート
も無事ゲットして、帰路につきました。
ホテルでほっと一息!
各受賞者の研究についてちゃんと勉強せずに行ってしまって反省した部分も多々ありますが、一生涯をかけて、人類のために役立つ研究を行ってきた受賞者の方々にお目にかかれ、お話できたことは、本当に貴重な体験となったのでした。
下村脩先生とご家族、O嬢に感謝の出来事でした。(完)
これがツーショット
これがツーショット
化学賞 下村脩先生(日本)
ずうずうしくお部屋にも何度もうかがってしまいました。奥様も一緒に3ショット!
化学賞 マーティン・チャルフィ先生(米国)
積極的に若い方の質問や話に応じてらっしゃる姿に感動。晩さん会の二次会(学生が準備)にも出席して元気!
化学賞 ロジャー・Y・チエン先生(米国)
ちょっとクールで、サインしてもらうのに一番苦労した先生
物理学賞 益川敏英先生(日本)
マスコミで大人気になりましたが、気さくでとても楽しい先生でした
物理学賞 小林誠先生(日本)
物静かですが、奥様といらしていて和やかそうな先生
文学賞 ル・クレジオ先生(フランス)
かっこいいです。目立ちます。日本語訳された著書を持っていって本にもサインしてもらいました
経済学賞 ポール・クルーグマン先生(アメリカ)
こ、こんなところでお目にかかれるとは!ちゃんと経済学部で勉強しておけばよかった……
生理学・医学賞 フランソワーズ・バレ=シヌージ先生(フランス)
HIVの専門家で受賞決定時も発展途上国で活動中だったとか。O嬢も感激の素敵な女性!
生理学・医学賞 リュック・モンタニエ先生(フランス)
シヌージ先生と同じくHIVの研究で。外国人だらけの中で見つけにくい先生でした……
生理学・医学賞 ハラルド・ツア・ハウゼン先生(ドイツ)
研究者っぽい風格がすてきなのですがツーショットを見失い只今捜索中……